やはり、昨日頭が痛くなったのは、街に出ている時間に直射日光を浴び続けたせいだと悟ったので、今日は初めからベトナム軍帽をかぶって出ていくことにする。もう笑われるのは覚悟である。通気性にもすぐれているので、機能的に良いからだ。現地の民間人も多くの人がかぶっているものだから、問題はないはずだ。

　今日はまずバッチャンまでバイタク（Xe om）を飛ばした。このバイタクのドライバーは、ベトナム語しか話せない。でも「バッチャン」さえ通じているのなら、それで良かろう。と、ところがである。なかなかに飛ばすこのバイクドライバーは、バッチャンへの道をどうも知らないらしい。幹線を飛ばしながら、他のバイクへ寄っていって、「バッチャンはどう行けばいいんだ」とどうも尋ねている様子。Uターンしたところを見ると、かなり行き過ぎていたようだ。むふふ、このアバウトさがたまらない。いいぞ、いいぞ、どこでもつれてけえ。幹線から外れ、土手のようなところをひたすら飛ばしていく。大きな河（ホン河。紅河とも言う）沿いの田園を右手に、中国風や様々な家屋を左手に見つつ、360度さえぎるもののない大平野の光景はなかなかに素晴らしい。大体30分ほどでバッチャンに到着する。

　かなり広い村全体で陶器を作っているのがバッチャンである。今回は英語を話す人がどこにもいないので、用意しておいたベトナム語−日本語単語集をドライバーと一緒に読みつつ、コミュニケーションをとり、お茶セットを購入することとした。この村はまだ完全には舗装されていないので、泥道の中をドライバーは器用に窪みや水たまりを避けながら、通ってくれる。ようやく一つの店についた。Hung Quac Yemという店。ここで、それらしいセットを購入し、65,000VNDを支払った。それからは、店主のご夫婦そろって、お茶を飲めだの、ついでにただでお茶っぱを分けてあげるだのという好待遇が続いたので、なんかおかしいなあと思ったら、ホテルに戻ってから理由が分かった。ホテルの奥さんと兄ちゃんに何を買ってきたのかと聞かれて見せたところ、これにいくら払ったかと聞くので、65,000VNDと言うと、爆笑されたからだ。ホテルの近くで30,000〜40,000VNDで買えるぞと言われてしまった。でもいいもんね、バッチャンが見れたんだから。そのデジカメ写真を見て、ホテルの奥さんも喜んでいたじゃないか。それにこれくらいの価格差なら、全然許す。後からくる観光客には迷惑をかけることになるかもしれないけれども。それはそれで、ごめんね。

　夕方に約束通り、Tuanがホテルまでやってきた。今日は約束の音楽喫茶に連れていってくれるらしい。ホアンキエム湖岸を少し歩き、カフェの多い通りを進む。が、その通りをすぎても見つからない。あせるTuan。道すがら人に聞いている。あれ？知っているのではなかったのだろうか。見切り発車だな。まあ、いいです。一緒に探しましょう。その内、2kmくらいを歩いたところでさすがに見つからないので、シクロの運ちゃんに場所を聞く。するとどうも知っているらしく、交渉の末、そのシクロに乗って行くことにした。着いた。・・・・・・閉まっている台湾料理屋さんに連れて来るなあっ！確かにDancing, Music,Karaokeとかいろいろ書いてあるけれどもなあ。この時点で、音楽喫茶は自分としては諦めたのだが、Tuanは全然諦める気配がない。それでも歩く。僕は既に暑さにばてている。もう、いいじゃん、あきらめようよお、Tuanよお。ようやく諦めてくれたのは、それから1kmほど歩いたところだった。そこのBia Hoiに入り、チャーカー（魚のすり身を揚げたもの）と、Tuanはビール、僕は7upを頼んだ。折しも東の空はスコールが降っているらしく、稲妻が大空に次々と光っている。なんか花火みたいで綺麗だなあ。空をさえぎるものがないので、本当に絵に描いたような稲妻を堪能した。さて、僕はもう中部へ旅立つつもりになっていたので、Tuanにその旨を告げる。明日はもうたっちゃうよ、と。Tuanは、サ・パに一緒に行くつもりだったようなので、非常に残念がっていた。しかし、中部が僕を呼びはじめたのだから仕方がない。Tuanは、日本に帰ったら、是非日本語の手紙と家族でうつっている写真および二人でうつっている写真を送ってくれと言う。快く承る。しかし、日本語でどうすんの？と聞くと、日本人の友達に訳してもらうということだった。Bia Hoiを出て、Bay Mau Lakeへ歩いていく。湖岸には、多くの家族やカップルが夕涼みをしている。夕涼みと言っても、もう８時をすぎてはいるが、この暑さなので、湖岸がやはり一番涼しいのだろう。家族みんなが豪快にねそべっている。こんな風景って日本ではもう見なくなって久しいんだろうな、と一枚写真を撮る。さあ、ではシクロかなにかで戻ろうよおと言うも、Tuanはいろいろ案内しながら、ひたすら歩かせてくれた。何kmもである。聞いてみると、いつも学校まで10kmを歩いて通っているらしい。この暑さの中で。やっぱりタフなんだなあ。こっちはほとんど車で移動する生活だったため、あっという間にばててしまっているのに。結局5-6kmをこの暑さの中で歩いたことになってしまった。疲れた〜！Tuanに礼を告げ、昨日の約束のガイド代50,000VNDを懲りもせず勉強の足しにしてくれと渡し、ホテルへと戻る。結局のところ、Tuanはいい奴のようだった。しかし、同時に見切り発車の人でもあった。

　ホテルでは、仲良くなった兄ちゃんTruongと、英語で馬鹿話をしながら、明日のフエ行き列車切符の手配を依頼する。Truongは28歳だが、この仕事が忙しく、またとっても貧乏なので、結婚もできんし、日本に行くこともできんと言っていた。でも日本の物価は高いぞと言うと、コーヒーは1$か？というので、うーん、大体4$くらいかなあと返答すると、絶対行くことはできんと確信した様子。もっと危ない話もしたけど、それは内緒。さて、部屋で切符を待つ・・・・来ない。

＜本日の支出＞
　朝食（ホットコーヒー、パン、はちみつ、焼きそば）　14,000VND
  ミネラルウォーター（小）　2,000VND
　お茶セット（陶器）    65,000VND
　バッチャン往復バイタク　50,000VND
　昼食（ホットコーヒー、焼きめし、オレンジジュース）　18,000VND
　ミネラルウォーター（大）　4,000VND
　たばこ（MILD SEVEN Light）　12,000VND
　シクロ                        　10,000VND
　チャーカー、7UP、ビール　50,000VND
　アイスクリーム×２            4,000VND
　Tuanへのガイド代        　50,000VND